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水彩画紀行  スペイン巡礼路 ポルトガル 上海、蘇州   カスピ海沿岸からアンデスの国々まで

水彩画紀行 スペイン巡礼路 ポルトガル 上海、蘇州   カスピ海沿岸からアンデスの国々まで

俳句は詩的な日記帳

俳句は短い詩的な日記帳 

長々と散文を書くより、一行で当時の思いを

余韻をもってよみがえらせてくれます。

今回は春の句を少し。

茨城の好きな山は吾国山。登った時、ふもとは田植えの盛りだった。

植えたばかりの苗が風に揺れていた。


漣に身をととのうる早苗かな 

銀座句会とかいろんな句会に参加していた頃。 
      
 耳たぶにみっつのピアス春の月  

 朧夜をネオンは律儀すぎるなり

深い味わいのある久保田万太郎氏の名句は

 湯豆腐や命の果てのうすあかり


それが頭のどこかに残っていてふと浮かんだ句は


紫陽花や小雨の庭のうすあかり


明日香村の駅のそばのペンションに泊まった時、

窓のすぐそばに、大きな桜の木があった。


夜桜や光は層を重ねつつ

飛鳥路はどこも春泥暮れゆけり


高遠城の人気ない夜の桜は怖いほど美しかった。


城跡や夜を重うして八重桜

妖しきは人去りし後の夜の桜

夜桜の陰に般若の隠れをり

しまい湯の底の冷たさ春愁い


童子の辻桃子先生、沖の能村登四郎先生、そして銀化の

中原道夫先生と素敵な方から俳句の楽しさを学びました。

童子の吟行旅行はとても楽しかった。

法師温泉の雪の夜炬燵を4連並べて、朝方まで夜通し句会。

疲れたら古い檜の広い湯船にざぶんと浸かった。

庇より大往生のしずり雪

その後、能村登四郎さんの句集「易水」を読んで感動し、日常生活を

このように芸術にまで高める生き方をしたいと門をくぐった。

童子の楽しい仲間とは別れたくなかったけど・・・。

2師につけない結社の掟のようなものがあった。

能村先生の沖の句会は100人の真剣勝負のような緊張があった。

澄む秋の星に音色のあるごとし

この句の高得点のおかげで宴席で能村先生の隣に座らせてもらった。

青海の梅の宿、能村登四郎さんの息子さん健三さんの句会の折

一晩中、宿の窓の下から川音が聞こえていた。

夜を通し瀬は激ちをり春満月

水温む今日は遠出の田螺かな

この句もどうしたことか特選!青海の銘酒をいただいた。

沖の才人中原先生が分家独立されるとき、一緒に銀化に移った。


中原道夫先生の新潟吟行会は雪の頃だった。

旅館の露天風呂に風花が舞い込んできた。

 風花に蕩児の浮かれ心あり

われは浮標(ブイ)雪田一面海ならば

この句のおかげで、先生の色紙をいただいた。楽しい思い出。

鯉は雪の池にじっと動かないが、ときおりピシャリと跳ねる。

寒鯉の耐へかねて打つ鼓かな


一度、故郷長崎に帰った時、支那寺付近をひとり吟行。


雨脚も鯉に届かず楠若葉

春灯やかぶと煮崩しあえる仲

池の面の夕光散らす春の鴨

春雨や波紋乱さぬ鯉の影


今は遠い昔、誰にも習わず自己流で俳句をはじめた。

一日一句以上と決めて一年間、その頃の思い出の句

                
語りたき言葉残して春は暮れ 
        
背を合わせ物語りゐる春の芝

つり革の人の温みや春愁い
      
灯を消して湯浴める子かな沈丁花

海外に住んでいると、季語の語感が日本と違うので、

共通の意識のもとに立つ俳句は表現が難しいので、

今は、結社の投句するような句はたくさん作れませんが。

ともあれ俳句はどこででも簡単に作れる楽しい日記帳です。

絵は、

奥多摩、秋川渓谷の新緑の頃

歓びを風と語るや春の木々

渓流


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